いま、20代後半〜40代のかつてのアーケードシューターは、全員「連射王」を読め!必ずだ!!
「連射王」(川上 稔)読了。
いやね。僕のようなゲーセンとSTGが青春だった人間にとって、コレはずるいですよ。ゲーセン描写が出てくる度に、10代後半に通ってた大宮のあのゲーセンの風景と空気が鮮明に蘇り、ノスタルジーからページをめくる手が止まってしまう。ゲーセンやSTGに少しでも思い入れがある人は、必読。絶対に楽しめるハズ。ラストシーン、僕は本当に涙を流して泣いた。
作者の川上氏もあとがきで書いてるように、この小説はフィクションだけど、これに近い「シーン」は実際に存在していたんですよ。今でも細々と存在してるけど。ゲーセンのゲームに「本気」になったことのない人には理解し難いかも知れませんけどね。
この小説は、あの場の「空気」を本当に上手く伝えていると思う。STGの技術解説や、戦闘描写も非常に的確。さすが川上氏自身が、かつてアーケードシューターだったというだけことはある。
劇中に登場する、弾幕以前の古き良き時代の縦スクロールSTGを思い起こさせる作品「大連射」。僕の頭の中では「紫炎龍」をベースに「雷電」のテイストを加え、タイトーシューの演出を隠し味に使った感じのSTGを想像してたんだけど、どうだろう?他のシューターの方の意見も聞いてみたいなぁ。
今回、アーケードシューターとしての視点から感想を書いてる人の書評を読みたくてネットで検索かけてみたんだけど、「ラノベ界隈の書き手としての川上氏」との比較的な書評が多く、STGやゲーセン描写について書かれたものは少なくて、少し残念。まぁ、川上稔を読む世代はもう弾幕STG世代だろうし、おっさんシューターも大概引退しちゃってるから、しょうがないんだろうなぁ。でも、いま20代後半〜40歳くらいでゲーセンの原体験を持つ人間こそが、この作品を本当に楽しむことができる人間だと思う。
アーケードゲームを本気でプレイしたところで、社会的価値になるようなものは本当に何も残らないけれど、この作品を心の底から楽しむことができただけで、僕はアーケードSTGを「本気で」やり込んだ青春に価値があったと感じることができた。アーケードSTGという超マイナージャンルをテーマに、作者の経験に裏打ちされたこんな素晴らしい背景描写をもった小説が出版されたことは、本当に喜ばしいことだと感じる。
素晴らしい感動を与えてくれた川上稔氏に、心からの感謝の言葉を送りたい。本当に、ありがとう。
【この作品にインスパイアされて書いた本館の記事】
一生、シューターとして生きていきたい貴方へ
- 作者: 川上稔
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