世界のはて

『はてな非モテ論壇』の一角だった場所

僕たちオタクは、ただ無我夢中で遊び続けるだけの「子供」から、世間との関わり合いの中で生きる「大人」へと成長する時期が来ているのかも知れない

  • Re:日本はあらかじめ『意見の正当性』が『空気』『世間』によって決められており、そこから外れた意見は『意見』として考慮されない社会なので、オタクは常に負けを確約されている - この先、しばらく道なりです
    http://d.hatena.ne.jp/raf00/20100318/1268850437


お返事どうもありがとうございます。

いろいろ思うところがあったので、id:raf00さんの返信を読んで思ったことを、引用を交えつつ、つらつら書いてみます(前回書いた内容と重なる部分もありますが、ご容赦を)。

僕は正直なところ、オタクに外部に向かわせるのも、外部の人間の偏見を取り除くのも、正攻法では非常に難しい現状があると思っています。外部にオタクをアピールしようとする人間はこれまでもしばしば現れましたが、外部からは偏見のかかった紹介の仕方で笑い者にされ(TBSの初音ミク紹介番組等)、内部からも「恥ずかしいから隠れてろバカ」と後ろから撃たれるような有様です。

こんな状況で外部に出て孤立無援で闘うなんてことを、オタクの人たちにやれとは言えません…僕もしたくないですし、多くのオタクは外部に出たがっていないという現在の状況の中では、まさに「誰得?」といった感じです*1

個人的には前回書いたように、オタクの強みであるコンテンツを通じ、若者文化と経済の方面からじわじわと世間に浸透し、影響力を強める戦略*2が現実的だと思っています。

実際ここ20年、オタクはそうして勢力を拡大してきたわけです。あと10年ほどもすれば、産まれたときからオタクカルチャーに慣れ親しんだ大人たちが世の中の多数派となり、現在年配の方を中心に存在する、オタクへの「よくわからない気持ち悪いモノ」という偏見も、自然に薄まっていくのではないかと思っています(無くなりはしないにしても)。


しかしその一方、こうしてオタクの影響力が強まってきた結果として、id:raf00さんが言うように、世間との摩擦が発生していることも事実です*3。こちらに関しては、↑の話とは別に、業界を挙げての対策が必要だと感じています。

しかしそれから20年、僕たちは自身が考えている以上に大勢となってしまいました。「ごく少数の人間のやっていることだから見逃せよ」と言える規模ではないことはコミケを見ても秋葉原を見ても感じられますし、「嫌なら見るな」というにはあまりにもいたるところに姿を表しすぎています。表現は過激化・突出化を続けています。無自覚な状態でオタクになれる基盤ができたことで、外だけでなく中での問題が発生している状況もあります。

このid:raf00さんの認識は、正しいと思います。こうした現状の中、

僕たちが愛する対象は一般人から見ればどれだけ言葉を尽くそうと理解の得られにくいものです。得られにくいからこそ人はオタクというレッテルを貼ります。

僕たちはかつてそれを学んでひとつのスタンスを生み出しました。「理解しなくてもいい。僕らはひっそりやるんで、僕らの世界でやるんでせめても見逃してくれよ」と(宮崎事件やコミケ幕張追放事件からのスタンスですね)。

というスタンスも、確かにそろそろ限界なのかも知れません。

僕たちは僕たちオタク自身を知らなすぎます。言及されているとおり僕たちが世間に与えてしまう影響も過小評価しすぎています。自身が知らないことを、目を背けていることを、どう外の人間に対して伝えていけるのか。強い懸念を感じています。

今回の規制騒動が、業界としてもオタク個人としても、世間との付き合い方を見直すキッカケになれば、と思います。

僕たちオタクは、コンテンツを生産/消費することで、自分達に心地良い世界の中で、無我夢中で遊び続けてきました。しかし、オタクが世間の中で無視できない存在になっていく中、自分たちだけが世界の中心である「子供」から脱皮し、世間との関わり合いの中で生きる「大人」としての自覚を持つ時期が、そろそろ来ているのかも知れません…

【ちなみに】もしもオタク業界が「大人」の業界になるのなら

「ポルノ作品」と「そうでない作品」の線引きを、映画産業並みに徹底するくらいのことは必要だろう、と思っています。「誰が見てもいかがわしい裏通りの専門店でしか売っていない」とか、「カーテンのかかったフロアの隅の一角にしか置いていない」とか。

既にそうしたことが行われている店舗もありますが、とらのあな等の同人ショップでは、健全なフロアと全く同じノリでポルノ作品が置かれているので、そうした現状は流石に改善する必要があるのではないか、と思っています。

*1:それに正直なところ、オタクの全体的な性格傾向として、外部に自分達をアピールすることは向いていないように思います…

*2:というか、自然の流れ。

*3:この辺、僕もあまり考えていない部分だったのですが、id:raf00さんの記事を読んで、確かにそういう面がある、と思い至りました。