世界のはて

『はてな非モテ論壇』の一角だった場所

「新型鬱病」増加の背景には、現代人の「人格の分散化」による適応があるのではなかろうか

http://koerarenaikabe.livedoor.biz/archives/51244369.html
新型うつ病」なるものが蔓延しているのだという。クリニックの予約を取ろうとしても患者が多すぎ、新患は3ヶ月待たされる場合もあるそうだ。仕事中にだけうつになり、会社の外では元気、というのが特徴で、若い世代に目立つというこの「新型うつ病」、なぜ増えているのだろうか。

これまでの「うつ病」といえば、几帳面でまじめな人がかかりやすく、落ち込み、自分を責め、自殺に至るケースが多いというイメージだった。
しかし、07年から急激に増えだしたとされる「新型うつ病」は、仕事中だけうつで、
帰宅後や休日は普段通り活発に活動する。

自分を責めるのではなく、身近な人間や社会に対して攻撃的な態度になり、休職したとしても会社や同僚にかける迷惑などあまり感じない、というのが典型らしい。

コレ、なんか解る気がする。

素人考えで書くけど、コレはたぶんはいわゆる社会の島宇宙化によって、所属するコミュニティによって人格を入れ換えて過ごす人が増えてることに起因する現象なんじゃないかなー。

昔の人は、もっとひとつのコミュニティに帰属する傾向が強くて、「俺のアイデンティティは会社だ!」みたいな人が多かったんじゃないかと思う。こういう人は、会社で失敗して鬱病を患らったりすると、自分の全てが否定された気分になり、「落ち込み、自分を責め、自殺に至る」ことになるんじゃないかと思う。

でも、最近の若者は所属するコミュニティ毎に人格を持ち、全くの「別人」として振舞うことが当たり前になっている。たとえば、ネット社会では活発で超有名人なんだけど、会社ではやる気なくてパッとしない↓の増田の友とか。

http://anond.hatelabo.jp/20080502134520
後輩が俺が普段利用している某ニュースサイトの管理人だと知ってビビった。世界狭ー。

そいつ、会社では全然やる気なさそうに見えるんだど、ニュースサイト更新にはすごい精力的なのな。

なんでも(身元明かした上で、他の社内の人間には絶対にバラさらないという条件付きで)話を聞いてみると、オフ会幹事とかも引き受けて、たまに主催したら20人くらい人が集まるくらいにリア充らしい。しかし、会社の飲み会には一切参加しない、付き合いの悪いやつにしか見えない。なんでこう極端なんだろう。

↑のような人は、たとえ「社会人」としての人格が鬱病になったとしても、「有名ニュースサイト管理人」としての人格は傷つかない。だから、「仕事中にだけうつになり、会社の外では元気」になる。「休職したとしても会社や同僚にかける迷惑などあまり感じない」のも、「社会人」としての自分にアイデンティティが帰属する割合が少ないからではなかろうか。

喩えるなら、古い鬱病は「太い根を持つ巨木」、新型鬱病は「あらゆる方向に根や葉を伸ばす細い木」。

前者はアイデンティティの帰属先は少ないけれどそのぶん強力で、人生に迷いが少なく、「芯が通っている」。ただ、一度根っこが駄目になると、一気に全てが駄目になってしまう危険性がある。古いタイプの鬱の人に、「会社だけが人生じゃないよ」的アドバイスが有効なのも、ここらへんが理由だと思う。

後者は、様々な場所にアイデンティティを分散させているので、そのうち一つが駄目になったとしても、あまり問題はない(リスクに強い)。ただ「芯」となる部分を持たないので、どうしても幹が貧弱になる。また、根や葉のひとつひとつは「巨木」タイプよりも弱く、潰れやすい。

これはあくまでイメージだけど、そんな感じなんじゃないかな。

で、いま後者のタイプの人が増えているのだとしたら、それは社会の変化に対する適応なんだと思うんだけど、その適応の是非については、いろいろな考え方があるんじゃないかと思う。