世界のはて

『はてな非モテ論壇』の一角だった場所

「少数派だから仕方がない」という言葉に潜む、「素晴らしい人々」の無自覚なファシズム

週末は出かけていたので、レスが遅れてしまいました。もうみなさん熱が引いているかも知れませんが、とりあえず前回のコメント欄イカフライさんの発言を受けて、レス記事を書いておきます。


イカフライさん
僕が批判しているポイントがどこにあるのか、全く理解できていませんね。僕は、非モテが実際に抑圧されているかどうかなんていうことを、議論するつもりはありません。僕が批判し、「最も嫌いな考え方」だと言っているのは、

http://www.absoluteweb.jp/ohno/?date=20061026#c77
恋愛に限らず大多数と違う、一般的ではない、少数派はいたたまれなかったり、居心地が悪いのはある程度仕方ないと思います。

という、イカフライさんのマイノリティに対するファシズム的な態度です。ここでいう「マイノリティ」とは、非モテに限った話ではなく、非モテを含んだ「マイノリティ全体」のことです。

少数派が居心地の悪い思いをしがちだということは、事実です。この事実に対し、イカフライさん個人が「少数派だから、仕方がない」と思って自分を納得させることは、イカフライさんの自由です。

しかし、他人に対してまで「少数派だから仕方がないと思え」と強制する権利は、イカフライさんにはありません。「仕方がない」と思って諦めるか、自分の苦しみを語り、世の中に訴えるか、あるいは別の道を選ぶのか。これは、当事者の自由です。「言論の自由」が保障された現代社会では、当事者にその権利があります。

もちろんイカフライさんにも「言論の自由」はあります。イカフライさんにとって、非モテの主張が理不尽なものに思えるのであれば、それを批判することも自由です。しかし、「仕方がない」「そんなものは抑圧ではない」という言い方。これは、当事者が自分の苦しみを主張することそのものを否定しているわけで、「言論弾圧」です。

イカフライさんの今回の発言は、イカフライさん個人の(あるいは多数派お墨付きの)価値観で、マイノリティ当事者が現に感じている苦しみを勝手に矮小化し、思想を否定し、言論の自由を抑圧するファシズムに他なりません。

「少数派だから、仕方がない」という発言。これはつまり、「少数派は黙ってろ」ということです。非モテが社会的に抑圧されているのか、実際のところは知りませんし、今回議論するつもりもありません。しかし、少なくともイカフライさんのこの発言は、非モテに限らない世の中のマイノリティ全員への抑圧として働きます。このことに、イカフライさんはもっと自覚的になるべきでしょう*1

*1:ちなみにこういった「多数派の価値観を盾に、少数派を抑圧する人たち」は、非モテ界隈では「素晴らしい人々」と邪喩され、id:republic1963さんあたりがよく語られていますね。