世界のはて

『はてな非モテ論壇』の一角だった場所

「対立項は女性/男性でなく、モテ/非モテになるだろう」

↑ではネタを書いたけど、この記事はとても良い記事だと思う。特にこのへん。

http://noraneko.s70.xrea.com/mt/archives/2006/1227210145.php
こうなると、男性と女性、どちらの抑圧が強いかというのは水掛け論にしかならない。性別や年齢や個人の実感によって様々という話になって終わりだろう。
一人勝ちしているのは抑圧など歯牙にもかけないモテ女とモテ男だけであり、それ以外の男女は、多かれ少なかれレッテル貼りや、それによるプレッシャーに苦しんで生きていると言える。
性的視線に晒されて抑圧された女性は、性的視線に晒されなくなることによっても抑圧される。

同意。ナツさんの記事はパッと見、id:Paris713さんの「イケメンは女性に優しい。(非モテにまつわる抑圧の話)」への反論のようにも見えるけど、主旨は↑の点だと読み取った。僕自身、こんなこと書いたこともあったしね。

http://a-pure-heart.cocolog-nifty.com/2_0/2006/07/post_95cb.html
実際に抑圧されているのは「男」でも「女」でも「ゲイ」でもなく、「社会から求められるジェンダー規範に乗れない/乗りたくない人たち」ですよ。社会規範に乗れている人たちは、どんなジェンダーを持っていようと、抑圧なんかされていないんですよ。対立しているのは「男VS女」ではなく、「規範適応者VS非(不)規範適応者」ですよ。

同じ意味で、id:furukatsuさんのこの発言も核心を突いていると思う。

http://b.hatena.ne.jp/entry/http://noraneko.s70.xrea.com/mt/archives/2006/1227210145.php
furukatsu 対立項は女性/男性でなく、モテ/非モテになるだろう。

名言。

もちろんこの話題の元になったid:Paris713さんのいう「現代はむしろ女性が優遇されている面も多い」「女性はお客様」も、特に若い女性に関してとても正しいことを言っていると思う。個人的には若いうちは女性優遇、歳食ったら男性優遇の風潮があると思うんだけど*1、最終的には「規範に乗れない者が抑圧されている」ってことなんだってことは、押さえておかないとなぁ。「フェミニズム」でも「メンズリブ」でもなく、「ジェンダリズム」みたいな学問や運動があればいいのに。
前にも書いたけど、社会規範的に男は「社会的強者」であることを、女は「性的強者」(≒恋愛強者)であることをより強く求められる。それを補強する手段も、社会的に提供されている*2。にも関わらず、それに乗れずに「弱者」になってしまった者は、「洒落にならない」ってことですよ。下駄履かせてもらっておいて、勝てねーのかよ的。
逆に「下駄」がないゆえ、男は性的弱者になりやすく、女は社会的弱者になりやすいという一面もある。昔はそういう「規範外」の能力が不足していてもたいして困らなかったんだけど、ジェンダー規範の分担が曖昧になってきたいま、こうした「逆弱者」になってしまう層が新しい問題になってきている、と。まぁそんな世界観を僕は持ってます。

本館に続く

*1:「優遇」というよりも、「恋愛資本主義的に価値が高い」と言うべきか。

*2:男性の給与の高さとか、女性の化粧やファッションの多様さとか。これにプラスして「世間の眼」とか。